このシリーズとても好きです。
音楽について考えさせられる、とても刺激のある質問が詰まっていて面白い。
特に以下のお題がとても刺激を受けたので、自分の考えについて書いてみる。
・現代において一切タイアップせずに大成することは可能か?
僕はこういった「現代は」とか「日本は」ということはかならず疑った見方をしてしまう。
だいたいは今も昔も同じだし、日本だけではない場合が多い。
違っていたとしてもそれにおいて良い悪いは決められない。
良い面もあるし悪い面もある。
言葉だけで聞けばなんかよさそうに見えるけど、実際にその時代に住んでみる、実際にその地域に住んでみるとでは現実とイメージは異なるものだと思う。
僕がこの質問で思ったのは、音楽は音楽だけで成り立っているわけではないということ。
音楽はどの時代においても「音」だけで票を集めていたわけではないということ。
と思っている。
音楽だけ聴いて「この音楽は素晴らしい!この曲はこのアーティストにしか作れない!」というは幻想だと思っている。
その音楽はその音がどの時代にどう扱われてどのような人が扱っているかで全く変わってくる。
僕はファイナルファンタジーの曲が好きである。
ファイナルファンタジーの曲を作る植松伸夫の曲は何でも好きだ!と思っていた。
しかし、植松伸夫が作っている曲はファイナルファンタジーだけではない。
それ以外のゲームでも曲を作っている。
その曲を聴いて僕はあまり好きではなかった。
なのでこう思った。
「僕はファイナルファンタジーが好きだからその中で流れる音楽が好きなのであって、植松伸夫の作る曲が好きということではないのでは?」
でも、しばらくしてそんなことを考える必要はなくなった。
なんとなくして、音楽は音だけで素晴らしいと判断しているわけではないと思ったからだ。
芸能格付けチェックの番組で高級楽器、超有名演奏団で演奏したほうを選択できないのと同じである。
別に音がいいんじゃなくて、「高級楽器、超有名演奏団」という情報をもって音がいいように感じているだけなのである。
そう考えるとこのタイアップっていう話も、
「あのドラマ、アニメ、映画で流れていたから好きになった」
というのも全く違和感はない。
それをきっかけに音楽を聴き、あのシーン、あの俳優、あのキャラをイメージしながら聴くことでその音が良くなる。
じゃあ、そのイメージがなかったらその音楽は価値がないのか?
例えばファイナルファンタジーの音楽を、ファイナルファンタジーなしで聴いたら僕は好きにならなかったか?
そんなこと考えていた時期もあったが、それは意味がないと思った。
なぜなら比べることができないからだ。
「ァイナルファンタジーなしで音楽を聴く」という世界線の僕を作らないといけない。
そんな世界線を僕は目の当たりにすることはできない。
だから、僕はファイナルファンタジーがあっての音楽が好きで良いと思う。
そうせざるを得ないから。
だからタイアップで大成でも良いと思う。
タイアップなしで大成というアーティストもいるだろうけど、それはそれで音だけで勝負しているわけではなく、別の方向で音以外でその曲を盛り上げている部分はあるはずである。
それがどんな内容であれ、それでその音楽が僕に届き、僕が心地よくなるのであればそれでいいと思う。
(もちろん音以外の要素で盛り上げているのが見えにくいのがかっこよく見えてしまうけど、それは自分が音楽を聴くときの心地よさとは関係はない)
今は昔に比べて音楽が手軽に聴ける。
その分、大量の音楽の中から選択しなければならない。
そのきっかけとしてタイアップというのは悪い話ではない。
大量にあるのだから選ぶきっかけができるのはとても良いことだと思う。
もちろん、その奥にもしかしたら自分が聴いたらとても心地よくなれる音楽が潜んでいるかもしれない。
タイアップやランク上位、有名アーティストに埋もれて本当に心地いいものに出会えないかもしれない。
でも音楽というのは縁で勝手につながっていくものだから、無理して開拓しようとか考えないほうがいい。
自然に待っていれば自然とその音楽に出会える。
そんなこと言っていたアーティストもいる。
なんかちょっと宗教ぽいと思われるかもしれない。
でも僕は音楽は宗教だと思う。宗教に近い何かだと思う。